本判決(令和1(ネ)4926・東京高等裁判所令和3年3月22日判決)は,指定暴力団稲川会の組員をリーダーとする詐欺組織によって行われた,いわゆる特殊詐欺の事案です。https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=90315
判決では,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)31条の2に基づき,当該組員の所属していた稲川会の当時の会長に対して,詐欺被害者に対する損害の賠償が命じられました。
暴対法31条の2所定の「威力利用資金獲得行為」の意義に関して,近時の裁判例は,被害者に対して威力が示される必要がないとする傾向を示していました。今般の高裁判決は,さらに進んで,「威力」は共犯者に対しても示される必要がないとしたものです。