お知らせ

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なぎなたと不当要求対応

警視庁管内特殊暴力防止対策連合会会報(特防連ニュース)令和4年5月号に掲載

(以下転載)

                     弁護士 久保田陽子 (第二東京弁護士会)

 

 最近、なぎなたを習い始めました。一見すると、剣道に似ているようですが、実際には、道具の長短だけでなく、間合いや足さばきなど、多くの違いがあります。2メートルを超える長物を振り回すのは普段の日常生活にない動きで、なかなか慣れません。

 ただ、心構えとして、相手からの攻撃に消極的に応じるのではなく、積極的に迎え打つ気迫、「肉を切らせて骨を断つ」の心持ちが大切なのだそうで、これは武道全般に共通するもののようです。また、咄嗟の時に適切に素早く対応できるようになるためには、地道に基本動作を繰り返して練習し、体に覚えさせておく必要があります。奥が深い武道であり、その理念は、様々な場面でも活きるように思われます。

 企業が反社会的勢力から不当要求を受けたときに、面倒な事態になるのを避けようとして、不当要求に応じてしまうケースが、いまだにあるようです。令和2年度に実施された反社会的勢力との関係遮断に関するアンケートでは、過去5年間に不当要求を受け、その相手方が反社会的勢力であると認識した企業22 社のうち、「トラブルの拡大を恐れた」などの理由で全部又は一部の要求に応じた企業が合計7社ありました。

 実際に不当要求に直面し、「お前では話にならない。責任者を呼べ。」「訴えるぞ。」などと言われたとき、事なかれ主義で腰の引けた対応をしていては、安易に不当要求に応じてしまうことになりかねません。

 しかし、不当要求に安易に応じていては、さらに被害が拡大していくおそれがあります。不当要求に対しては、腰を据えて積極的に迎え打って出て、「敵の骨を断つ」気迫が大切といえます。

 また、いざ不当要求を受けたときに適切に対処できるようになるためには、普段から組織全体で「有事」を想定し、基本動作を練習して備えておくことが大事です。

 各部署の連携を図り、担当者を孤立させない仕組みを構築し、ロールプレイングなど、有事を想定して基本動作を練習しておくことは、いわば、不当要求対応の基本動作の「型」といえるでしょう。不当要求対応の基本動作の「型」を繰り返して練習し、習得しておくことによって、いざ有事が起きたときでも、「肉を切らせて骨を断つ」の心構えで、腰を据えて毅然と対応し、不当要求を拒絶することが可能となります。

 三会民暴委員会では,各種の研修で,不当要求対応の寸劇やロールプレイングを実施しています。民暴弁護士として、これからも、企業の毅然とした対応を支援していく所存です。

 

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